【開催報告】新潟県地域づくり巡回講座 にいがた旬塾2016

リノベーションまちづくり~空き店舗・空き家を人の集う場所へ~

 

 6月2日(木)~6月14日(火)の期間で、(一財)新潟ろうきん福祉財団主催「新潟県地域づくり巡回講座 にいがた旬塾2016」が開催された。

  「にいがた旬塾」は、地域づくりの活動をされている方、地域づくりに興味がある方を対象に、活動の現場で活かせる知識を提供するとともに、交流を通して視野を広げ、連携促進やさらなる活動の活性化に資することを目的としている。

 

 今年のテーマは『リノベーションまちづくり~空き店舗・空き家を人の集う場所へ~』。

 実際にシャッターが降りっぱなしになった商店街や、誰も住まなくなった空き家をリノベーションした地域づくりの仕掛人を講師に招き、空き家・空き店舗をリノベーションして、「市場を再生した新しい商店街」「メーカー、クリエイター、ユーザーが繋がるシェアスペース」「住み開きの古民家(ゲストハウス・シェアハウス)」として活用した話が紹介された。

 

 講座は、第1部 「リノベーションまちづくり」講演、第2部 (一財)新潟ろうきん福祉財団による2016年度地域社会創造事業の紹介、第3部 参加者同士による情報交換会という3部構成。

県内5会場(阿賀野市・南魚沼市・新潟市北区・妙高市・三条市)で開催し、参加者は過去最多の135名だった。

 

 

阿賀野・三条会場:株式会社テラスオフィス 統括マネージャー 高岡はつえさん

 沼垂商店街の昔~現在に至るまでの風景や、平成26年度からスタートした「ACTIVE再生プロジェクト」、各店舗の紹介・リノベーション事例をご紹介いただいた。

 沼垂商店街の再生は、「古くて新しい沼垂」を目指し、少しずつ進められた。パイオニアとなった3店舗が多方面から注目を集めたことで徐々に噂が広まり、出店希望が相次いだそうだ。そこから出店された各店オーナーたちが積極的にメディア取材に応じ、更に口コミが広がったことでご近所~若者までたくさんの方々が訪れる商店街に生まれ変わった。

 質疑応答では、「高岡さん自身の収入源は?」「テナントの家賃はいくらぐらいですか?」「どのように出店者を選んでいるのですか?」など、より具体的な話を引き出す質問があった。

 

■沼垂テラス商店街

 http://nuttari.jp/

 

南魚沼会場:合同会社燕三条スタイル 代表 小山雅由さん

 講演は『ストーンスープ』の話から始まった。これは小山さんが大学院時代に知った話で、『いろんな人たちが協力し、資源を持ち寄ることによって、予想以上の結果が生まれる』ということのたとえ話。小山さんが運営する燕三条トライクはこの話をコンセプトに運営されているそうだ。

 リノベーションするにあたって利用したクラウドファンディングの話や、半セルフリノベーションしていく過程、ストーンスープを具現化するワークショップの話など、具体的な話が参加者を惹きつけた。

 質疑応答では、「リノベーション費用の総額、内訳を教えてください。」「トライクのヴィジョンは利用者・周囲にどう伝えていますか?」「地方でコワーキングをできる・できない要素はありますか?」など、より具体的な話を引き出す質問があった。

 

■シェアスペース&ライブラリー燕三条トライク

 http://tsubamesanjo-style.jp/

 

新潟市北区・妙高会場:ギルドハウス ギルドマスター 西村治久さん

 「自分の家にコンセプトと名前をつけました。みなさんもつけてみませんか。」会場からは驚きの声が上がった。

 十日町市と胎内市で自らの終の棲家を「ギルドハウス」と名付け、自宅全体を24時間開放し、色々な人が集まり交流することができる場をつくっている。

 ギルドハウスをつくるまでの話から始まり、西村さん流の家探しの仕方・コンセプトのつけ方・リノベーション方法・情報発信の仕方を軸に、話は進んだ。

 特に、コンセプトのつけ方と情報発信は参加者の関心の高い話だったため、講演後は質問が相次いだ。またその他には、「シェアハウスとしての運営収支はどうしているのか?」「知らない人がいる日常ってどんな感じですか?」など、まだ知らぬ世界への興味関心が高まった時間となった。

 

■ギルドハウス十日町

 https://colish.net/concepts/602

 

 第3部の参加者同士による情報交換会はワークショップ形式で開催。「自分のしたいと思っていること・協力してほしいこと」を書き出し、見せあいながら話したい人とグループになって意見交換。参加者同士のつながりづくりの場となった。

名刺交換だけでは終わらない、お互いの思いや活動を話し合う有意義な時間となり、終了時間になっても話は尽きなかった。

 

 講演後、参加者からは「大変勉強になった。今後も住み開きの事例を勉強し、自分のコンセプトを明確にしたい。」「コミュニティーをつくり出す仕組みづくりやその重要性が印象に残った。考えていないでまず動くことが大事。」「本気にならなければ実るものもないと思いました。自分の意見は恥ずかしがらずに、どんどん発信していこうと考えさせてもらいました。」など様々な感想が寄せられた。

 


 この講座は、新潟県内における地域おこしや地域資源を活用したコミュニティビジネスの振興などを資金面から支援する『自立した持続可能な地域社会創造助成事業』をPRする一環として開催されている。

 

 同助成では、空き家・空き店舗のリノベーションするための検討会・イベントの開催、建物のハード整備のための費用としても活用が可能である。また、リノベーションだけに限らず、多様な用途で地域づくりに関する事業の申請を受け付けているので、まずはホームページの募集要項をご確認ください。

 

 

 <2016年度地域社会創造助成事業のお問合せ> 

 

一般財団法人 新潟ろうきん福祉財団

募集期間:2016年7月1日(金)~7月29日(金)まで 

募集概要:http://zaidan-hukushi.or.jp/?page_id=229